いわき平競輪場の特徴と傾向から予想のヒントを探る

話題の多い競輪場

 いわき平競輪場は、福島県でも海寄りの「浜通り」地方に属しており、東北地方においても比較的降雪の少ない場所であることから、1年を通して開催があります。

 1951(昭和26)年に開設された当時は「平競輪場」と呼ばれていましたが、1991(平成3)年において、現在の「いわき平競輪場」の呼称になりました。

 いわき平競輪場は特別競輪の開催の多さでも知られており、日本選手権競輪1回、オールスター競輪7回(来年8月に、8回目の開催予定)、全日本選抜競輪2回、サマーナイトフェスティバル2回と非常に多く、今年は当地でサマーナイトフェスティバルが開催されましたが、新型コロナウイルス感染症の影響が心配される中、過去最高の57億4,570万円の売り上げを記録して話題になりました。

 記念競走「いわき金杯争奪戦」は毎年1月に開催され、地元の山崎芳仁選手(88期)が4回制していることで知られています。また当競輪場アドバイザーを務め、1974(昭和49)年のオールスター競輪で史上初の「完全優勝」(ファン投票1位、ドリーム戦1着、優勝)を成し遂げた阿部道(あべ・とおる)元選手を称える「阿部道杯」(F1シリーズ)も開催されています。

 2009(平成21)年3月にリニューアルされ、現在の形となりました。走路がビルの3階部分に相当する場所にまで引き上げられたために、バンク内から観戦することが可能で、見上げるような形で観戦できます。またナイター設備も設置され、同年7月17日から「エキサイティングナイター」と銘打ったナイター競輪が開催されるようになりました。

 2017(平成29)年のオールスター競輪では、落車した選手に気を取られた係員が周回板をめくり忘れたために競走が不成立・返金となった事件があり、これを契機として翌2018(平成30)年3月開催から、全国初となる電子周回告知板が導入されることとなりました。

 何かと話題が多い所ですが、いわき平競輪場の特徴とは一体どんなものがあるのでしょうか?詳しく見ていきたいと思います。

予想のヒント

 いわき平競輪場は、1周400mのごく一般的なバンクであり、クセのないバンクではありますが、みなし直線が62.7mと長く、カント(傾斜)もあるので、「捲り」が決まりやすく「逃げ」選手には不利な点が挙げられます。しかし捲りのタイミングを逃したり、あまりに後方(7番手あたり)まで置かれたりすると、反対に逃げ切られる虞もあります。

 バンク全周やバンクの内側にはポリカーボネートが施されている上に、バンク自体が建物で覆われているため、競輪場に入り込んだ風の逃げ道がなく、走行中に選手が風の影響を受けることが他の競輪場よりも多く、特に冬場は風も強いことから、その傾向が顕著に現れているようです。

 ゴール前のイエローラインでは、やや内と外に伸びるコースがあって、大外強襲を狙う追込選手には有利になっているようです。またリニューアルで地面の凹凸が改修されたことから、走りやすくなったという声が選手から出たそうです。

 これらのことから、先行するよりも中団あたりで待機して、仕掛けのタイミングを見計らいつつレースを進め、最後に捲り・差しを決めることが、当競輪場で勝つためのコツと言えるのではないでしょうか。

決まり手

1着:逃げ17% 捲り30% 差し53%

2着:逃げ16% 捲り16% 差し31% マーク37%

※脚質について

1着:逃げ40% 追込39% 両方21%

2着:逃げ28% 追込55% 両方17%

3着:逃げ22% 追込62% 両方16%

 1着選手の決まり手が「逃げ」17%に対し、「差し」だけで5割以上、「捲り」も入れると8割以上を占めており、これだけでも「逃げ」追選手には不利な場所だとわかります。また2着選手も「逃げ」の決まり手が16%しかなく、「差し」「マーク」型の選手だけで7割近くを占めていることから、「逃げ」選手には厳しいということがわかります。

 脚質については、1着選手の「逃げ」が40%を占めていますが、他の競輪場同様、「逃げ」選手が先行→捲りという戦法で1着に入線したと考えられ、自力・自在の脚を持つ選手を狙いたいですね。一方、2着・3着の選手は追込が各55%と62%と高い率を示しており、車券を手広く買う際には何かと応用できそうなデータが揃っています。

直近の傾向

<2020年7月10日~8日:サマーナイトフェスティバル・全12レース制>

 それでは直近に開催されたレースの結果を見ながら、実際はどうなっていたのかを見ていきましょう。

※左から順に

1着の場合は逃げ、捲り、差しの回数

2着の場合は逃げ、捲り、差し、マークの回数

(7月10日[初日])

1着:0,3,9

2着:1,2,5,3

(7月11日[2日目])

1着:2,2,8

2着:1,2,5,4

(7月12日[最終日])

1着:0,5,7

2着:0,3,5,4

(3日間合計)

1着:2(5%),10(28%),24(67%)

2着:2(5%),8(22%),15(42%),11(31%)

 特筆すべきは、初日と最終日は「逃げ」選手が一度も1着に入らず、3日間トータルでもたった2勝(2日目に2勝しただけ)しかしておらず、あらためて「逃げ」選手には不利なバンクだということがわかります。一方で「差し」選手の1着入線率が67%と非常に高く、2着入線率も42%と高率であることから、「差し」選手には非常に有利なバンクだということがわかります。他には「マーク」選手の2着入線率が31%を占めており、うまく主導権を握った選手の後位に付けた「マーク」選手にも、有利なバンクであることがわかります。

まとめ

・1着は「差し」選手、2着は「マーク」選手を狙え。

・自在に動ける選手には有利なバンク。特に自力で動ける選手には非常に有利。

・冬場は風が強いことから、「逃げ」選手にはかなり不利。

 要は、状況に応じて動くことができる選手に有利ということでしょう。

 「じゃあ、どの選手なんだ?」と思ったら、競走得点とその選手の決まり手を見てみるといいでしょう。その結論が垣間見えてくると思います。

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