「競輪界一年の総決算」「実力日本一決定戦」と評される年末の一大イベント・KERINグランプリ。
今年の開催場所は、34年に亘るグランプリの歴史の中で、一番多く開催されている(19回)東京・立川競輪場。今回で20回目の開催となった立川競輪場とは、一体どんな競輪場なのでしょうか?コースの特徴や地理的な状況も含めて、ご紹介していきます。
立川競輪場の特徴
立川競輪場は、住宅街の一角に位置する内陸の競輪場であり、同じ東京の京王閣競輪場のように、風の影響を受けにくい競輪場として知られてきましたが、今から3年前の平成28年に、老朽化した第4コーナー付近にあるスタンドを取り壊し、「市民の丘」として再整備した結果、そこから風が吹き抜けて、バックスタンド付近で横風になり、各選手の走りに微妙に影響しているという声も聞かれます。
しかしもともと立川という所は、各コーナーのカーブが急になっていることから、直線に入ると前を走っている選手が横にふくれることが多いことや、400バンクの競輪場ながら、みなし直線距離(最終周回において、第4コーナーからゴールまでの直線距離)が、全国の400バンク競輪場の中でも比較的長めの58mということもあって(400バンク競輪場の中で一番みなし直線距離が長いのは、佐賀県・武雄競輪場の64.4m。
全国の競輪場だと熊本競輪場の69.5m)、逃げ戦法よりも、捲り・差し・追い込み戦法のほうが決まりやすい傾向にあります。
事実、過去20年近くの立川競輪場における決まり手のデータを集計してみると…
・1着:逃げ17%、捲り28%、差し55%
・2着:逃げ15%、捲り14%、差し34%、マーク37%
このように逃げ戦法よりも、捲り・差し戦法の方が勝利に結びつきやすいということが言えます。
特に大きいレースになれば、賞金額が高いこともあって、各選手とも普段以上に力を振り絞ってレースに臨みますから、逃げ戦法の選手などは直線で息を切らせて沈没というケースも多々見受けられます。
ちなみに過去立川で開催されたグランプリ(2000年以降)における決まり手のデータを見てみると…
・1着:逃げ0%、捲り29%、差し71%
・2着:逃げ0%、捲り29%、差し42%、マーク29%
やはり逃げ戦法でなく、後ろから攻める戦法の方が決まりやすいということが立証されますね。
予想をする上でのヒント
車券を買う上で注意したいのは、先述したように逃げ戦法の選手よりも捲り・差しなど、後ろから攻める戦法をとる選手を狙うことです。
特に今回出場する中川誠一郎選手(熊本)のように、一つの戦法にこだわらずに自在に足を使える選手は、一番の狙い目になるでしょう。
加えて、当日の競輪場における風の向きや強さにも注意を払いたいです。
これも先述したように、第4コーナースタンドが取り払われたことで場内の風通しが良くなり、強風が吹いた時には横風となって、選手の走りに影響を及ぼすことが予想されます。
特に、後ろから攻める選手などには、少なからず風の影響を受けることによって、追い込みが決まらなくなることも予想されます。
当日風が強かった場合、どの戦法の選手が上位に絡んでいるのかを、しっかり観察することも必要と言えましょう。
今年出場する選手の立川バンク成績
では今年の出場メンバー9人は、立川競輪場において過去どのような成績を収めてきたでしょうか?この中で、立川を得意とする選手はいるのでしょうか?
過去、立川で開催された特別競輪の成績を紐解いてみることにします。
※選手名の横の数字は(1着.2着.3着.4着以下)
・中川誠一郎(1.0.2.6)
・脇本雄大(0.0.1.4)
・新田祐大(1.3.0.4)2010年SSカップ優勝
・村上博幸(1.0.1.3)2010年グランプリ優勝
・松浦悠士(初出走)
・清水裕友(初出走)
・佐藤慎太郎(2.1.4.7)2010年SSカップ3着
・平原康多(3.0.0.9)
・郡司浩平(0.0.0.1)
これだけ見ると、出走回数8回中4回が2着以内で、連対率50%を誇る新田選手や、1着と3着が各1回ある村上選手、そして出走回数14回中3着以内が7回と、堅実な走りをする佐藤選手といった面々が、立川を得意としていることが分かります。
事実、新田選手は直近4か月(一番最後に走った8月の名古屋・オールスター競輪時点)での勝ち星5勝のうち、捲りと差しで各2勝を挙げており、村上選手も直近4か月の勝ち星はすべて差し、佐藤選手も勝ち星の6割強が差しと、前を見てレースをする自在さを持ち合わせているかどうかが、勝利へのキーポイントとなっているようです。
また新田選手は2010年に立川で開催された、S級S班選手による一発勝負「SSカップみのり」で優勝しており、村上選手も同年の立川グランプリで優勝するなど、実績も折り紙つきです。
これだけ多くの実力者が出場するのですから、車券を買う上でも非常に悩ましいですね。
栄冠は誰の手に…?
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