「砦の森のバンク」
取手競輪場は、「砦の森のバンク」と銘打たれた、かわいらしいホームページが有名であり、市内に所在する東京芸術大学取手キャンパスとの産学連携である「サイクルアートフェスティバル」や、市民有志による電飾イベント「取手蛍輪(とりでけいりん)」の開催を通じて、多くの人を競輪場に導く試みを展開しています。
1950(昭和25)年に創設されて、今年で70周年を迎えますが、上記の集客努力に加えて東京から常磐線快速で1時間以内の距離にあることから、首都圏各地のファンが多く足を運ぶ場所としても有名です。
スタンドの老朽化が著しいことから、施設改修が検討されていた最中の2011(平成23)年に東日本大震災が発生し、当地もホームスタンドの損壊など大きな被害を受けたことから、本年度は本場開催を行わずに場内復旧と直線の入れ替え工事(ホームとバックの入れ替え)を行い、その間は隣県の松戸競輪場にて代替開催を行いました(2013(平成25)年9月にリニューアルオープン)。
創設されてから特別競輪の開催がありませんでしたが、2001(平成13)年に初めて共同通信社杯競輪が開催されて以後、2005(平成17)年に高松宮記念杯競輪の東地区トライアルである東王座戦、2009(平成21)年には共同通信社杯競輪秋本番、そして2017(平成29)年には、待望のG1レースである第32回全日本選抜競輪が開催され大盛況を博しました(再来年2022(令和4)年、当地で全日本選抜競輪の開催が決定済み)。また開設記念競走は毎年6月に「水戸黄門賞」の名称で開催されており、シード競走は「助さん格さん賞」として開催されております。
首都圏から気軽に足を運べる利便性を持ちながら、集客努力も怠らない取手競輪場とは一体どんなバンク特性を持つのか?データを見ながら解説していきます。
予想のヒント
取手競輪場は1周400mの「4バンク」で、日本の競輪場における標準的な場所です。
みなし直線が54.7mとさほど長くなく、カントは全国的に見てもきついといえない程度のものですので、一般的にクセのない走りやすいバンクとされていて、選手の実力がストレートに反映される競輪場と言えます。
しかし競輪場近くには利根川が流れており、冬場は川沿いからバックスタンドに向かって強い風が吹きつけ、向かい風となることから、最終周回における勝負の分かれ道となっています。
競りについては、2センター付近では外側有利となっていますが、バックスタンド周辺ではイン有利の展開となっています。また地元選手だけが知る「秘密の伸びるコース」があり、後方一気の「差し」が決まることも少なくなかったことから、開催期間中は「捲り」「差し」選手の進んだコースをよく覚えておくことが必要かと思われます。
直線では断然外側が伸びやすく、特にイエローラインの外側を進むと俄然伸びがいいようです。したがって、2センターあたりまでは中団待機策をとり、4角の段階で外から直線強襲を狙った方が良さそうです。
決まり手
1着:逃げ19% 捲り29% 差し52%
2着:逃げ17% 捲り15% 差し30% マーク38%
※脚質について
1着:逃げ39% 追込41% 両方20%
2着:逃げ27% 追込56% 両方17%
3着:逃げ21% 追込64% 両方15%
「4バンク」の競輪場全体に言えることですが、圧倒的に「差し」選手が有利であり、特に先行した選手の後位につけての「捲り」と「差し」が多いと思われます。この傾向は向かい風の影響が考える冬場に顕著ではないかと思われます。
脚質については「逃げ」が39%を占めていますが、単純に「逃げ」たわけではなく、「逃げ」の脚を持ちながら「捲り」戦法をとったが故の結果と考えられます(理由は前述の決まり手詳細の通り)。
直近の傾向
<2020年7月23日~25日:旨い!常陸牛杯・全9レース制>
それでは直近に開催されたレースの結果を見ながら、実際はどうなっていたのかを見ていきましょう。
※左から順に
1着の場合は逃げ、捲り、差しの回数
2着の場合は逃げ、捲り、差し、マークの回数
(7月23日[初日])
1着:0,5,4
2着:2,1,2,4
(7月24日[2日目])
1着:1,2,6
2着:3,1,2,3
(7月25日[最終日])
1着:1,3,5
2着:2,1,4,2
(3日間合計)
1着:2(7%),10(37%),15(56%)
2着:7(26%),3(11%),8(30%),9(33%)
1着は「捲り」「差し」選手が圧倒的に有利でした。直線強襲が及ぶ分だけ「逃げ」選手に不利な結果だったと言えます。
しかし2着を見ると、「差し」「マーク」選手が絡む確率が高いものの、「逃げ」選手も26%絡んでいました。向かい風の影響を受けやすい冬場ではないことから、「逃げ」選手も比較的楽に走ることができているということの証ではないでしょうか。
まとめ
・他の「4バンク」同様、「差し」「捲り」選手を頭に狙え。
・冬場は向かい風の影響が大きく、「逃げ」選手には不利。
・ただし冬場以外なら、「逃げ」選手も2着で狙える。
2着流しの車券を購入しようとする場合、冬場でなければ「逃げ」選手から狙ってみるのも、面白いかもしれませんね。
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