
「東の横綱」の本拠地
宇都宮競輪場は、1950(昭和25)年に開設された歴史ある競輪場であり、宇都宮市民憩いの場である八幡山公園の一画に所在しています。
特別競輪が開催されたのは比較的遅く、1987(昭和62)年にオールスター競輪が初めて開催され(以後2回開催)、全日本選抜競輪2回、高松宮記念杯競輪・共同通信社杯競輪・東西王座戦各1回の開催実績があります。今後は2022(令和4)年3月18日から21日にかけて、ウィナーズカップが開催される予定となっています。また記念競輪は「宇都宮ワンダーランドカップ争奪戦」とのタイトルで毎年5月に開催されており、今年は浅井康太選手(三重)が優勝しています。
そしてここ宇都宮競輪場といえば、史上最多の特別競輪(G1)16勝を誇る「東の横綱」神山雄一郎選手の本拠地でもあります。神山選手が初めてG1を勝った1993(平成5)年のオールスター競輪は奇しくもここ宇都宮での開催であり、自身初のG1勝ちを地元で達成した喜びから、勝利インタビューでは大勢のファンの前で号泣しながら答えていたのが記憶に新しいところです。
それではそんな宇都宮競輪場の特徴等を、データを見ながら詳しく紹介します。
予想のヒント

ここ宇都宮競輪場は、1周が500mある「5バンク」であり、他の競輪場と違って、その分直線も長いことから、逃げる選手には非常に不利な競輪場とされています。ならば追い込み型の選手に有利ということになるのですが、追い込みを決めたとしても、その後ろにまた追い込み選手がいたとしたら、その選手に抜かれる恐れすらあって、いわゆる「交わしの交わし」を喰らう危険性が高くなっています。
ただし2007(平成19)年にメインスタンドの改築工事が行われた際にホーム側とバック側が入れ替わり、その結果それまで67.9mあったみなし直線が63.2mに短縮されたこともあり、その分だけ先行選手が仕掛けやすくなって、車券にも絡みやすくなったようです。
このメインスタンド改築工事によって、メインスタンド1階部分が吹き抜けとなり、1センター側に大きな建物も存在しないことから、1コーナーから2コーナーとホームスタンド側に風が通り抜ける影響があるようです。
参考までに、以下に当競輪場のバンクデータを貼っておきます。

決まり手

1着の決まり手が、「逃げ」選手15%に対して「捲り」22%「差し」63%。2着を見てみても「逃げ」選手は13%ですが、反対に「差し」「マーク」の選手だけで7割以上を占めており、「逃げ」選手にとっては非常に厳しい競輪場だと一目でわかります。
脚質を見ると、1着に「逃げ」選手が37%入っていますが、当然逃げ切ったというものではなく、恐らくは逃げる脚を持ちながら「逃げ」戦法を打たずに、他の選手の動きを見ながら自力で動き、勝負に出たという見方になりましょう。
直近の傾向
<2020年7月2日~4日:東京中日スポーツ杯・全9レース制>
それでは直近に開催されたレースの結果を見ながら、実際はどうなっていたのかを見ていきましょう。

この傾向を見て興味深いのは、初日と最終日の「逃げ」選手が1着に絡む割合が高く、初日は3勝、最終日は4勝と、「逃げ」選手に厳しい同競輪場とは思えないほどの結果になりました。レース展開にもよるのでしょうが、何度か行われた走路改修によって「逃げ」「先行」選手にも、チャンスが到来したと言えましょう。
しかしそれでも3日間「差し」選手が5割近い勝率を数えていることや、2着に「マーク」選手が5割以上入線している事実を考えると、やはり追い込み型の選手が有利ということかもしれません。
まとめ
・直線長い分だけ追込型選手が有利だが「交わしの交わし」に注意。
・「逃げ」選手を狙うなら、長くいい脚を使える選手から狙う。
・ホーム側で風の影響を受ける恐れあり、当日の風向きに注意。
「交わしの交わし」という大ドンデン返しを喰らう危険性もありますが、それだけ手に汗握るレースが展開されているということでしょう。
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