競輪場の華で、高い人気を集める「ガールズケイリン」。
世間的にはここ数年の盛り上がりばかり注目され、新しく創設された競技と思われているようですが、実は古い歴史を誇っており、以前も今と変わらぬ程の高い人気を集めていました。
オリンピックに出場する他競技の女性アスリートが、体つくりの一環として自転車競技に参加するケースや、協議を引退した人が第二の人生を賭けて、自転車の世界に入ってきたというケースもあります。
その歴史と、現在の状況についてご紹介します。
ガールズケイリンの歴史
現在の「ガールズケイリン」発足前に、女性だけの競走がありました。
戦後間もない1948(昭和23)年、公営競技の中でも傑出している競馬に対抗すべく、当時自転車を公営競技の一角に組み込もうと企図した、競輪の生みの親と評される倉茂貞助は、女性を出場させることで新鮮味をアピールしようと考え、同年11月の小倉で「女子競輪」実現にこぎつけました。これが発祥とされています。
当初は車券の対象とならないオープンの扱いでしたが、翌1949(昭和24)年の川崎における第2回全国争覇競輪(現在の日本選手権)で正式に競輪として認定され、世間の高い注目を集めました。
その後、特別競輪の開催が行われることとなり、上記以外に高松宮妃賜杯競輪(現在の高松宮記念)、全国都道府県選抜競輪(全日本選抜の前身)、競輪祭の4つのレースで女性限定の競走が行われまして、これまでになかった斬新な点が、多くの注目を集めました。
しかし1957(昭和32)年の全国争覇競輪での女子の部の開催が理由がわからぬまま中止になったのを発端に、女子競輪の特別競輪開催が縮小されることとなって、また女子競輪自体が、生理現象によって選手が出走を辞退するようになったこと、選手間の実力差が開きすぎて堅い結果が続き配当的妙味が薄くなったこと、「家庭の都合」という理由で出走をドタキャンする選手が出たきたため、人気が低下して1964(昭和39)年に一旦廃止されたのです。
その後、同じ公営競技の競艇において女性の選手の台頭が目立ったことから、主催者も女子競輪復活に動き出し、先行して2008(平成20)年からエキシビションとして開催され、その後も年間4~5戦を全国各地で開催されました。
そして2011(平成23)年に、候補生を日本競輪学校(当時)に入学させて教育・訓練を施し、翌2012(平成24)年に正式なレースとして復活するに至りました。
このように紆余曲折を経ながらも、再び表舞台に登場することとなり、復活してからというもの、昔以上の活気を呈するようになったと言われています。
現在の勢力図
では現在の「ガールズケイリン」では、どんな選手が活躍しているのでしょうか?
獲得賞金ランキングを基に紹介してきます。
・児玉碧衣(108期・福岡)
今年の獲得賞金ランキングが1位(12月20日現在)であり、近走20走でも3日間連続1着の完全優勝を10回達成するなど、今や実力最上位の選手です。今年の獲得賞金でも2位の選手に200万円近くの差をつけており、このまま順調にいけば賞金女王は確定でしょう。
・石井寛子(104期・東京)
「ガールズケイリン」を語るとき、真っ先にこの人の名前が出てくるほどの第一人者です。エキシビションで開催されていた頃からの選手で、デビュー戦から9戦無敗、「ガールズケイリンコレクション」初出場初優勝、「ガールズケイリン」史上初の通算取得賞金1億円など、記録にも記憶にも残る名選手です。
・石井貴子(106期・千葉)
大学まで続けたスキー競技の道と決別し、一旦社会人生活を送るも、一から競輪の修業を始めて、上位に食い込んできた苦労人です。特別競輪4勝の実績に加え、国際レースや自転車競技への出場にも熱心であり、特に自転車競技では、2012年東京国体のチームスプリントで400mレースの日本記録を保持しています。
・梅川風子(112期・東京)
もとはスピードスケートの選手であり、デビュー3年目でキャリアこそ浅いですが、今年は4場所連続完全優勝を果たしたほか、4月の高知「ガールズフレッシュクイーン」優勝など成績が向上しており、特別初制覇も近いと目されています。
・佐藤水菜(114期・神奈川)
昨年デビューした21歳の若手ながら、獲得賞金ランキング5位に付ける新進気鋭の選手です。高校時代から自転車競技の道に入り、国体等でも活躍してきました。その経験が現在の競輪選手としての活躍にも活かされていると思われます。
ガールズグランプリ
上記の5人に加え「コレクション」史上最多6勝の記録を持つ小林優香(106期・福岡)と、「ガールズケイリン」史上初の300勝を達成した奥井迪(ふみ・106期・東京)の2人を加えた7人により、今年2019年12月28日に立川競輪で一発勝負の競走が開催されます。
今年の「ガールズ」実力日本一を争う一戦であり、かなりの注目を集めそうで今から非常に楽しみです。
昨年の覇者は、今年も出走する児玉碧衣。
2年連続となるか?それとも下剋上はあるか?
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