【名勝負(1995年)KEIRINグランプリ】東の神山、西の吉岡

神山雄一郎vs吉岡稔真の2強対決

1990年代に競輪界を席巻した若き2大スター…神山雄一郎選手(61期・栃木)と吉岡稔真選手(65期・福岡)。

彼らの台頭が競輪界を盛り上げたことは衆目の一致するところですし、ファンは金網の向こうから、この2人が鎬を削りあっている姿を固唾を飲んで見守り、熱い声援を送ったものでした。

その2人の直接対決、しかも1対1の真っ向勝負が見られたレースの一つが、1995年のKEIRINグランプリでした。

レース前の状況、前評判

この年の2人の成績は一体どうだったでしょうか?

神山選手は高松宮記念杯(大津びわこ)、全日本選抜(青森)、競輪祭(小倉)と特別競輪3つを制覇。

それまで吉岡選手に対して全く歯が立たず、特別競輪の初制覇も吉岡選手に後れを取っただけに(神山選手の特別競輪初制覇は1993年に地元宇都宮で開催されたオールスター。

吉岡選手は1年前の1992年に前橋で開催された日本選手権)、5度目の出走となったグランプリを制して、一気に雌雄を決するつもりでした。

一方吉岡選手は特別競輪の決勝に3度出場するも、すべて敗退。

しかもオールスター(熊本)では失格となるなど散々な年でした。

賞金獲得上位ということもあって、暮れの大一番であるグランプリに出場できましたが、この年のタイトルを一つもとれなかったこともあって、吉岡選手自身グランプリ制覇に並々ならぬ闘志を燃やしていました。

悲願達成を狙う神山、逆襲に燃える吉岡といった状況です。

出場選手・出走メンバー

神山対吉岡の勝負と言われても、そこは暮れの大一番・KEIRINグランプリ。

出場選手は彼ら2人だけでなく、その年の特別競輪を制した選手や、賞金獲得上位の選手など実力者揃いで、まさに群雄割拠の混戦模様でした。

仮に片方がもう片方を倒しても、他の選手を倒せなければ単なる「相討ち」「共倒れ」で終わります。

勝利を掴むために、彼らはどうやって戦ったのでしょうか?

出走選手は以下の9人でした。

1 吉岡 稔真(福岡)
2 小橋 正義(岡山)日本選手権、寛仁親王牌
3 髙橋 光宏(群馬)オールスター
4 滝澤 正光(千葉)
5 児玉 広志(香川)
6 三宅  伸(岡山)
7 井上 茂徳(佐賀)
8 松本  整(京都)
9 神山雄一郎(栃木)高松宮記念杯、全日本選抜、競輪祭

神山選手には同じ北関東の髙橋選手、吉岡選手には同じ九州の井上選手が後方支援に回りましたが、岡山県の2人(小橋・三宅両選手)や単騎(滝澤・児玉・松本の3選手)もいる中で、どの選手がどう動くかもわからず、レースの行方は混沌としていました。

ライン、並び

スタートしてからの並びは、こんな感じでした。

三宅―小橋
神山―児玉・髙橋(競り)
滝澤
吉岡―井上
松本

レースが動いたのは赤板(残り2周を知らせる、ゴール地点にある赤い板)を過ぎたあたり。

道中7番手で様子を見ていた吉岡選手がジワリと動き始め、向正面で神山選手が反応し、これに気付いた三宅選手が抜かれまいと動き始め、一気にペースアップ。

すると残り1周の直線に入ったところで神山選手がスピードを上げ、前を走る三宅選手に向正面で襲い掛かると先頭を奪い、後ろでは髙橋選手が神山選手の後ろに付こうとする選手を必死で振り払って、このまま神山選手が押し切り勢いに。

一方の吉岡選手は残り1周の直線で立ち遅れ、後方8番手からの最終1コーナーでエンジンを全開して追撃開始。

第3コーナーでは三宅選手に絡まれながら何とか振り切り、視界が開けたその前には緑の染め分け勝負服に身をまとった神山選手の姿が!

最大の見どころ

最終2センターで吉岡選手が神山選手に迫る勢いでしたが、神山選手も吉岡選手を振り切ろうと必死の抵抗を見せました。

そして最後の直線は2人の一騎討ちとなりました。

神山選手が最後の力を振り絞って直線伸びたところを、外から吉岡選手がフルスロットルのスピードで襲い掛かり、ほぼ同時の状態でゴールイン。

どちらが勝ったか!?吉岡選手は勝利を確信して両手を挙げガッツポーズを見せ、神山選手は淡々と凱旋門に戻るも…?

レースビデオを見る限りではほぼ同時でしたが、スローで見ると吉岡選手が差し切っており、年の最後に何とかタイトルを奪取。

さすが吉岡選手、勝利を確信していただけのことはありました。

吉岡・神山両選手の間からは井上選手も伸びてきましたが、勢い的には両選手の一騎討ち。まさに実力日本一決定戦といった感じのレースでした。

レース動画

[1995年]KEIRINグランプリ1995 優勝者 吉岡稔真(福岡)

結果<明と暗>

吉岡選手はこの勝利で4年連続のタイトル奪取。復活の勝利を遂げ、意気揚々とインタビューに応じていた姿が印象的でした。

一方の神山選手、グランプリ5度目の挑戦でも制覇できず、しかも最後の最後でタイトルを逃したのは痛恨の極みでしょう。

帰りの車中、何度もハンドルを叩きながら吉岡選手の名前を絶叫していたとのこと。

その悔しさは推して知るべしです。

この戦い以後、両選手はしばらくタイトルを分け合う状態が続き、長く競輪界を牽引しましたが、一方で滝澤・井上両選手は今回が最後のグランプリ出場となるなど、一気に世代交代が進むことになりました。

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