KEIRINグランプリとは
競輪界最大のレースにして「実力日本一決定戦」「競輪界1年の総決算」ともいうべき年末の大一番がKEIRINグランプリである。
暮れも押し迫った毎年12月30日、選ばれし歴戦の強者9人が一堂に揃って展開される予選ナシの一発勝負。
今年もその開催があと1か月後に迫ってきました。
ところでこのレース、いつどこで開催されて、誰が出走できるのでしょうか?初心者の方々にもわかりやすいようにご案内します。
レース誕生のきっかけ
競馬や競艇といった他の公営競技に人気をさらわれ、車券の売り上げが大きく低迷していた1980年代。
競輪場に足を運ぶ人の姿も減少して、このままでは競輪が衰退すると危惧した、主務官庁である通商産業省(当時)の車両課長・西川禎人氏の「競馬の有馬記念に匹敵するレースが作れないものか」という発案の下に、KERINグランプリ競走が企画されました。
その内容は、その年に大レースを勝った選手や獲得賞金ランキング上位の選手を集め、競輪界の実力日本一選手を決めるという、有馬記念はおろか、プロ野球の日本シリーズにも似た内容でした。
しかし、注目を集める一戦だけに、レース中継を引き受けるテレビ局がなかなか見つからず、安全・警備上の問題で開催を引き受ける競輪場もなかなか現れませんでした。
開催場所と賞金
結局、首都圏の競輪場の中でも収容規模がトップクラス(約4万人)である東京・立川競輪場を最有力の候補地として定め、所有者の立川市と交渉した結果、立川市側が開催を快諾したことで、第1回KEIRINグランプリは1985(昭和60)年、立川競輪場で開催されました。
その後は数年に1回の割合で神奈川県の平塚競輪場で開催するほかは原則的に立川競輪場での開催となり、年末における立川競輪場の風物詩として親しまれるようになりました。
2003(平成15)年からは、東京・京王閣競輪場(調布市)でも開催されるようになり、以後は立川→平塚→京王閣と持ち回りでの開催となりましたが、2014(平成26)年は大阪・岸和田競輪場、2018(平成30)年には静岡競輪場でも開催されるようになり特定の地区での開催が集中しないように配慮がなされています。
なお令和最初となる今年のグランプリは立川競輪場で、翌2020(令和2)年は平塚競輪場で、それぞれ3年ぶりに開催されます。
賞金は、当初1,000万円でしたが、その後徐々に増額されていき1997(平成9)年の第13回大会からは7,000万円、2004(平成16)年の第20回大会からは1億円に増額され、まさに競輪界最大のレースとしての規模を誇るに至りました。
出場資格と距離について
実際に出場するには、どんな成績を残せばいいのでしょうか?
出場資格として挙げられているのは
・本年の特別競輪優勝者(日本選手権競輪、高松宮記念杯、全日本選抜、オールスター競輪、寛仁親王杯、競輪祭)
・賞金獲得上位の者
・世界選手権自転車競技大会金メダリスト
・(開催年の)オリンピック自転車競技メダリスト
これらの中から9人を選抜する形式ですから、自ずと実力者が選抜される形となりますので、実力伯仲の手に汗握るレースが期待できるというわけです。
ただし、失格等で「あっせん停止」処分を受けた者や、大レースで失格を3回以上した者等については、出場資格を失うことがあります。
また距離は2825mで、400バンクなら7周分に該当します。
通常は400バンクを5周(2025m)しますので、2周多く走る計算になりますね。
第1回優勝者は中野浩一
栄えある第1回KEIRINグランプリは、先述の通り1985(昭和60)年に開催されましたが、年末の慌ただしい中で、2か月前の10月に、急に開催が決定したということもあって、集客状況が心配されました。
そこでファンサービスの一環として、グランプリに出場する9人の選手が入場口に集まり、来場者を迎えるという画期的な企画が用意され、観客も大喜びでした。それが功を奏したのか、当初の集客の心配も杞憂に終わり、入場者は4万人を超え、グランプリだけで車券の売り上げが12億円を超えるという大盛況であったのです。
その記念すべき第1回目の優勝者は、ご存じ「ミスター競輪」こと中野浩一選手(福岡)でした。
佐々木昭彦=井上茂徳(ともに佐賀県)両選手の九州3番手につけた中野選手が、地元東京勢(清嶋彰一=尾崎雅彦=山口健治)のプレッシャーをものともせず、最終周回で滝澤正光選手(千葉)の捲りが井上選手のブロックで不発に終わったところで、向こう正面からスパートをかけた中野選手が、力で押し切ってそのままゴール。
まさに横綱相撲といった感じの走りぷりでした。
中野選手がグランプリを制したのは、後にも先にもこの1回しかありませんでしたが、世界選手権10連覇をはじめとした数々の大記録を達成したスター選手だからこそ、最初の「競輪界実力日本一決定戦」を制するに値したのかもしれませんね。
以後、KEIRINグランプリは、毎年世間から大きな注目を浴びる暮れの名物レースとして定着し、出場選手も1年の総決算にふさわしい実力者が揃う、競輪界を代表するレースとして定着するに至りました。
今年の出場予定選手
ことしの競輪グランプリへの出場権を勝ち取った選手は以下の通りです。
脇本 雄太 賞金ランキング第1位
松浦 悠士 賞金ランキング第2位
清水 裕友 賞金ランキング第3位
中川 誠一郎 賞金ランキング第4位
佐藤 慎太郎 賞金ランキング第5位
村上 博幸 賞金ランキング第6位
平原 康多 賞金ランキング第7位
郡司 浩平 賞金ランキング第8位
新田 祐大 賞金ランキング第9位
今年は誰が優勝賞金1億円を手にするのか、今から楽しみでなりません。
レースの直前まで新しい情報を更新していきます。
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